ネイル

数ヵ月ぶりに爪に色を乗せた。

確かこの前は横浜に行く直前に慌てて塗っていた気がする。紺色を。
ラメもパールもホログラムも入っていない濃い紺一色を雑に両手の爪に塗った。
ベースもトップコートもしない。透明感やツヤ感とは遠くて、適当な油性ペンで爪を塗ったみたいな出来だった。しかも所々はみ出てるしムラにもなっていた。
まるでV系みたいな黒に近い紺色の爪にして、ガタガタな出来映え。
まあいいかって、いいながらも、やっぱりなんか違うよな、ってどこかで思ったような気がする。確か夜行バスの中で。

今回は薄い青紫色のマニキュアにした。
資生堂のピコのらしい。

ここ最近SNSで話題らしいけれども、全くそんなことは知らなかった。
近頃は流行のなかでもはじっこ、すみのすみの話題を辛うじて知るくらいで精一杯だ。ちなみに一番人気な色は売り切れだった。

私はこの菫や藤の花のような白っぽい紫色のほうが気に入ったので、それでよかった気がする。人気なものをおすすめされると断りにくいから。そしてそれを試して似合わなかったら、大多数の感覚から外れている個体だと認識せざるを得なくなるから。

ほんのすこしお酒が入った状態で、お風呂上がりに両爪を塗る。
あ、これ57577っぽい。無意識だった。字余りだけど、許容範囲。
右の親指から塗っていた。なんか難しいなって思ったら、ホログラムが入っているみたいだった。ホログラムと細かいラメ。とてもかわいい。色も質感も好み。

二度塗りして、全体を見る。綺麗な色。
ただし、下手だ。横にも上下にもはみ出ている。ムラもある。相変わらず不器用なことはかわりはない。化粧品カウンターのお姉さんや、お客さんのしているような出来には遠く及ばない。
それでも、とても綺麗でかわいいと思う。
好きな色で、きらきらしていて、好ましい。
童話にでてくるとしたら、夜なのに明るく描かれている星空の色。人間の一生で例えたら、高校一年の5月、放課後に音楽室前を通りかかったときみたいな色。

24時間後にはもとに戻っているけれども。

でこぼこな綺麗をもう少しだけ味わっていてもいいだろうか。


今度ドラッグストアに行くときには、トップコートを買おうと思う。